シーヨック、キャッスルトン、セリンボン、今流行のワインの名前のようだが、実は紅茶のシャンパンといわれるインド・ダージリン茶の茶園名である。低いところでは700メートルから、高いところでは2千メートルを超えるヒマラヤの山岳地帯に、
およそ80余りの茶園が点在している。
その中から、今までは、アンボーティア(Ambootia)茶園のダージリンを御愛飲いただいていたが、今年の一番茶からはジュンパナ(Jungpana)茶園のものも紹介することにした。
■と言うのも、このジュンパナ茶園のダージリンは、1996年、1997年と続きカルカッタオークションで何度もトップクラスの値を付け、引く手あまたの大人気なのだ。そんなに評判な紅茶なら一度は飲んでみたいもの、アンボーティアとどう違うか、という強い好奇心である。
■新しくお試しいただくジュンパナを少し紹介しておくと、この茶園は、栽培・製茶から丁度100年の歴史があり、茶樹についても樹齢100年を守り続けている。標高は750〜1500メートルに位置し、日中の高温と夜間の低温の差が大きく、山間から沸き立った霧が、山腹の茶園を這いながらだんだん上に昇っていく。この白い霧とそれをさっと乾かす直射日光がジュンパナ特有の強い香気とパンジュンシーと呼ぶ快い刺激を生み出すのだ。
■ロンドンにおいてはロイヤルファミリーに愛飲され、ドイツ、アメリカにも輸出されている。私自身、昨年のセカンドフラッシュ、オータムナルと2度に渡り試飲したが、とても印象的で、快い刺激とスーと切れる爽やかさ、バラやスミレの花束を前に、高級なシャンパンを口にした感覚であった。
■ワインやビールもいつも同じものは安心だが、たまには銘柄の違ったものを冒険してみたくなる。今回のジュンパナはそんな楽しみを一つ増してくれそうな、そんな味である。
■さて、いれ方と飲み方だが、新鮮な水を沸かしたてで使う。つまり沸かしすぎない手前(95〜98度C)をティーポットに勢いよく注ぎ、5,6分蒸らす。この時、茶葉がポットの上部にたくさん浮かんでいれば必ず期待通りにおいしいジュンパナを飲むことができる。
■ファーストフラッシュだから水色はオレンジ系で淡い。濃く入れてミルクティーという手もあるが、この爽やかな風味はライトに入れてブラックティーをお勧めしたい。ティーフードは意外にも羊かんやまんじゅうなどの和菓子、砂糖菓子、甘いクッキー類がよく合う。注意する点はシャンパンみたいに酔わないのでつい飲みすぎてしまうこと。いや、これも全く無害なのでご心配なく。 |